毎週月曜日の朝、前週の売上CSVを開き、Excelで集計表とグラフを作る。

その数字をWordの週報へ転記し、会議用のPowerPoint資料へまとめる。

管理職や営業担当者へ提出する前に、ファイル名を変更し、決められたフォルダへ保存する。

このような週次業務は、一つひとつを見ると難しくありません。

しかし、毎週同じ作業を繰り返すと、年間では非常に大きな時間になります。

例えば、一回の作業に90分かかる場合、年間50週で75時間です。

資料を作る担当者が5人いれば、年間375時間が、集計、転記、グラフ作成、書式調整へ使われます。

この定型業務をAIへ任せるために利用できるのが、オープンソースのデスクトップアプリAionUiです。

AionUiは、通常のAIチャット画面ではありません。

AIがPC内のファイルを読み、必要なデータを集計し、複数のファイルを作成し、決められた日時に同じ作業を繰り返すための「Cowork」型AIエージェントです。

AionUiには、Word、Excel、PowerPointをAIから操作するためのOfficeCLIが組み込まれています。

そのため、Microsoft Officeを自動クリックするのではなく、AIが直接、次のファイルを生成・編集できます。

  • Excel:XLSX、XLSM、CSV
  • Word:DOCX
  • PowerPoint:PPTX

さらに、AionUiにはスケジュールタスク機能があります。

毎週月曜日の午前8時、毎月1日の午前7時、30分ごとなど、指定した時刻にAIへ同じ仕事を実行させられます。

本記事では、AionUiを「無料のAI社員」としてPCへ常駐させ、次の業務を毎週自動化します。

  1. 指定フォルダから最新の売上CSVを探す
  2. Excelで売上を集計する
  3. 商品別・担当者別のグラフを作る
  4. Word形式の週次報告書を作る
  5. PowerPoint形式の会議資料を作る
  6. すべてのファイルを日付別フォルダへ保存する
  7. 毎週月曜日の朝に自動実行する

プログラムを書かずに設定する方法を中心に説明します。

最後には、無料のローカルAIであるOllamaを接続し、データを外部AIへ送らず動かす方法も紹介します。

最初から実際の売上、顧客情報、人事情報を使わないでください。本記事の架空データで動作を確認してから、社内規程と権限設定を整えたうえで実務へ移行してください。


目次

AionUiとは

AionUiは、AIエージェントをPC上で利用するための無料・オープンソースアプリです。

公式GitHub:

iOfficeAI/AionUi

対応OSは次のとおりです。

  • Windows 10以降
  • macOS 10.15以降
  • Ubuntu、Debian、FedoraなどのLinux

AionUiにはAIエージェントの実行基盤が内蔵されています。

Claude CodeやCodexを別途導入しなくても、APIキーまたはローカルAIを設定すれば、内蔵エージェントを利用できます。

既にClaude Code、Codex、Gemini CLI、Cursor Agent、OpenCodeなどを利用している場合は、それらをAionUiの画面から使うこともできます。

AionUiでできること

  • PC内のファイルを読む
  • ファイルやフォルダを作る
  • 複数のファイルをまとめて処理する
  • Excel、Word、PowerPointを生成する
  • Webを調査する
  • 画像を生成する
  • MCPツールを利用する
  • 複数のAIエージェントを切り替える
  • 指定日時に処理を自動実行する
  • ブラウザやスマートフォンから接続する

通常のAIチャットでは、回答を受け取った後、人間がExcelやWordへコピーします。

AionUiでは、AIが成果物となるファイルまで作成します。


「無料のAI社員」の無料とは

AionUiとOfficeCLIは、Apache License 2.0で公開されている無料のオープンソースソフトウェアです。

しかし、利用方法によっては費用が発生します。

項目 費用
AionUi 無料
OfficeCLI 無料
OpenAI API 利用量に応じて有料
Anthropic API 利用量に応じて有料
Gemini API 無料枠または利用量に応じて有料
Ollama ソフトウェアとローカル実行は無料
PCの電気代 利用環境による

完全に追加料金なしで運用したい場合は、OllamaやLM Studioを使い、自分のPC上でローカルAIを動かします。

ただし、ローカルAIには次の制約があります。

  • 十分なメモリが必要
  • クラウドAIより処理が遅い場合がある
  • 複雑なOffice資料では精度が下がる場合がある
  • 日本語の要約やレイアウト品質に差が出る

最初はクラウドAIで仕組みを確認し、その後、機密性や費用に応じてローカルAIへ切り替える方法が現実的です。


AionUiとMicrosoft Copilotの違い

項目 AionUi Microsoft Copilot
ソフトウェア OSS Microsoftの商用サービス
AIモデル 複数社・ローカルAIから選択 Microsoft側の構成
ファイル操作 指定フォルダを横断処理 Microsoft 365中心
定期実行 Cron、固定間隔、一回実行 製品や契約構成による
Officeインストール OfficeCLIによる生成は不要 Microsoft 365との連携が中心
費用 本体無料、AIモデル費用は別 契約プランによる
カスタマイズ Assistant、Skills、MCPで拡張 Microsoft製品の範囲で拡張

AionUiは、Microsoft Officeを置き換えるものではありません。

AIがOffice形式の成果物を自動作成し、定型業務を連続実行するための基盤です。


AionUiとUFO²の違い

以前紹介したMicrosoft UFO²は、Windows画面上のExcelやOutlookなどを操作するAIです。

AionUiとOfficeCLIは、主にOfficeファイルそのものを直接作成・編集します。

項目 AionUi+OfficeCLI Microsoft UFO²
主な処理 ファイルを直接生成・編集 Windowsアプリを操作
Word・Excel・PPT Office未導入でも生成可能 デスクトップ版Officeを操作
Outlook 標準構成では文書生成が中心 メール画面を操作可能
画面占有 画面クリックを必要としない処理が中心 GUI操作中は画面状態の影響を受ける
定期実行 AionUiの標準機能 別の実行管理が必要

Office資料を自動生成する用途ではAionUi、既存Windowsアプリを横断操作する用途ではUFO²が向いています。


今回作る「週次報告AI社員」

毎週、次のフォルダへ売上CSVを保存する運用を想定します。

C:\AionEmployee\
├── input\
│   └── sales_20260724.csv
├── output\
├── archive\
└── rules\

AIは、inputフォルダから最新CSVを探します。

処理後は、次のファイルを作ります。

C:\AionEmployee\output\2026-07-27\
├── 01_週次売上集計_2026-07-27.xlsx
├── 02_週次報告書_2026-07-27.docx
├── 03_週次会議資料_2026-07-27.pptx
└── 04_処理結果_2026-07-27.md

Excelの内容

  • 元データ
  • 商品別売上
  • 担当者別売上
  • 得意先別売上
  • 日別売上
  • 売上合計
  • 平均単価
  • 商品別棒グラフ
  • 担当者別棒グラフ
  • 日別推移グラフ

Word週報の内容

  • 対象期間
  • 売上合計
  • 前週比較
  • 売上上位商品
  • 売上上位得意先
  • 担当者別状況
  • 異常値・注意点
  • 来週の確認事項

PowerPointの内容

  1. 表紙
  2. 今週の重要指標
  3. 商品別売上
  4. 得意先・担当者別売上
  5. 課題とリスク
  6. 来週の行動計画

必要なPC

クラウドAIを使う場合

  • Windows 10または11
  • メモリ8GB以上、推奨16GB
  • 空き容量2GB以上
  • インターネット接続
  • 利用するAIサービスのAPIキー

Ollamaを使う場合

  • Windows 10または11
  • メモリ16GB以上、推奨32GB
  • 空き容量20GB以上
  • NVIDIA GPUがあれば高速化可能

AionUi自体は4GB程度のメモリでも起動できます。

ただし、大きなCSVや複数のOfficeファイルを安定して作るには、16GB以上を推奨します。


Step 1:作業フォルダを作る

PowerShellを開き、次を実行します。

New-Item -ItemType Directory `
  -Path C:\AionEmployee\input `
  -Force

New-Item -ItemType Directory `
  -Path C:\AionEmployee\output `
  -Force

New-Item -ItemType Directory `
  -Path C:\AionEmployee\archive `
  -Force

New-Item -ItemType Directory `
  -Path C:\AionEmployee\rules `
  -Force

確認します。

Get-ChildItem C:\AionEmployee

Step 2:テスト用の売上CSVを作る

実際の会社データを使う前に、架空データを作ります。

@'
日付,伝票番号,得意先,商品,担当者,数量,単価,売上
2026/07/20,S-1001,株式会社青空商事,商品A,田中,10,1200,12000
2026/07/20,S-1002,株式会社北陸販売,商品B,佐藤,8,2500,20000
2026/07/21,S-1003,株式会社青空商事,商品A,田中,15,1200,18000
2026/07/21,S-1004,株式会社中央工業,商品C,鈴木,5,4000,20000
2026/07/22,S-1005,株式会社北陸販売,商品B,佐藤,12,2500,30000
2026/07/22,S-1006,株式会社中央工業,商品C,鈴木,7,4000,28000
2026/07/23,S-1007,株式会社青空商事,商品D,田中,20,900,18000
2026/07/23,S-1008,株式会社北陸販売,商品A,佐藤,18,1200,21600
2026/07/24,S-1009,株式会社中央工業,商品D,鈴木,25,900,22500
2026/07/24,S-1010,株式会社青空商事,商品C,田中,6,4000,24000
'@ | Set-Content `
  -Path C:\AionEmployee\input\sales_20260724.csv `
  -Encoding UTF8

Excelで開き、文字化けしていないことを確認します。


Step 3:AionUiをインストールする

公式GitHubのReleasesを開きます。

AionUi Releases

Windowsでは、使用しているCPUに合うインストーラーを選びます。

  • 一般的なIntel・AMD PC:x64
  • ARM版Windows PC:ARM64

ダウンロードしたEXEを実行します。

  1. インストーラーを起動する
  2. Windowsの警告が出た場合は、発行元とファイル名を確認する
  3. インストールを完了する
  4. AionUiを起動する

本記事の確認時点では、最新リリースはv2.1.41です。

更新が早いプロジェクトなので、記事内の古いバージョンを探さず、GitHubでLatestと表示されている安定版を利用してください。


macOSへインストールする

Homebrewを利用している場合:

brew install aionui

または、ReleasesからDMGを取得してApplicationsへ移動します。


Linuxへインストールする

ReleasesからDEBまたはAppImageを取得します。

DEBの例:

sudo apt install ./AionUi_ダウンロードしたバージョン_amd64.deb

AppImageの例:

chmod +x AionUi-*.AppImage
./AionUi-*.AppImage

Step 4:AIモデルを設定する

AionUiを起動すると、使用するAIモデルを設定します。

設定画面の表記はバージョンや言語設定によって多少異なります。

基本的には、次の順序です。

  1. Settingsを開く
  2. ModelまたはProviderを開く
  3. 利用するAIサービスを選ぶ
  4. APIキーを入力する
  5. モデルを選ぶ
  6. 接続確認を行う

選択できる主な方式

  • OpenAI
  • Anthropic
  • Google Gemini
  • DeepSeek
  • OpenRouter
  • Ollama
  • LM Studio
  • OpenAI互換API

APIキーを会話欄へ貼り付けてはいけません。

必ずAionUiのモデル設定欄へ登録します。


どのAIモデルを選ぶべきか

今回の作業では、次の能力が必要です。

  • 日本語の指示理解
  • CSVの分析
  • Excelの数式・グラフ設計
  • Wordの文章作成
  • PowerPointの構成作成
  • ツール呼び出し
  • 複数工程の計画

単純なチャット専用の小型モデルでは、途中で処理を省略したり、Officeファイル作成に失敗したりする可能性があります。

最初は、ツール利用と長文処理に対応した高性能モデルを使用してください。

処理が安定した後、低価格モデルやローカルモデルへ変更し、品質と費用を比較します。


Step 5:最初の会話を作る

AionUiのホーム画面から、内蔵のCoworkまたはBuilt-in Agentを選びます。

作業ディレクトリには、次を指定します。

C:\AionEmployee

AIにPC全体を探させず、専用フォルダだけを作業対象にします。

初回は、次の短い指示で動作を確認します。

C:\AionEmployee\inputフォルダを確認してください。

ファイル名と列名だけを報告してください。

ファイルの変更、移動、削除は行わないでください。

AIが対象CSVを認識できれば、次へ進みます。


Step 6:週次報告を一度手動で作る

定期実行を設定する前に、必ず手動で最後まで成功させます。

次の指示をコピーしてAionUiへ送信してください。

あなたは、週次売上報告を作成する社内アシスタントです。

作業対象は、次のフォルダだけです。

C:\AionEmployee

このフォルダ外のファイルは読み書きしないでください。

【入力】

C:\AionEmployee\input

入力フォルダ内にあるsales_*.csvのうち、
更新日時が最も新しいファイルを1件だけ使用してください。

元のCSVは変更、上書き、削除、移動しないでください。

【出力先】

今日の日付をYYYY-MM-DD形式にし、
次のフォルダを作成してください。

C:\AionEmployee\output\YYYY-MM-DD

既に同名フォルダがある場合は削除せず、
ファイル名の末尾へ時刻を追加してください。

【Excel】

最新CSVを読み、次のExcelファイルを作成してください。

01_週次売上集計_YYYY-MM-DD.xlsx

シート構成:

1. 元データ
2. KPI
3. 商品別集計
4. 得意先別集計
5. 担当者別集計
6. 日別推移

KPIシートには、次を表示してください。

・売上合計
・伝票件数
・販売数量
・平均伝票単価
・売上1位の商品
・売上1位の得意先
・売上1位の担当者

商品別、得意先別、担当者別に、
売上合計、数量、構成比を集計してください。

次のグラフを作成してください。

・商品別売上の棒グラフ
・得意先別売上の棒グラフ
・担当者別売上の棒グラフ
・日別売上の折れ線グラフ

金額には3桁区切りを設定してください。

見出し、罫線、列幅、固定行、背景色を整え、
印刷や会議で利用できる品質にしてください。

元CSVの合計と作成したExcelの売上合計が一致することを確認してください。

【Word】

Excelの集計結果を基に、
次のWord週報を作成してください。

02_週次報告書_YYYY-MM-DD.docx

構成:

1. 週次売上報告
2. 対象期間
3. 主要KPI
4. 商品別の状況
5. 得意先別の状況
6. 担当者別の状況
7. 注目すべき変化
8. リスクと確認事項
9. 来週の行動案

数字から確認できない原因を断定しないでください。

推測を書く場合は、
「可能性」「要確認」と明記してください。

文章は管理職が5分以内で読める長さにしてください。

表紙、見出し、表、ページ番号を整え、
社内文書として提出できる体裁にしてください。

【PowerPoint】

ExcelとWordの内容を基に、
次のPowerPointを作成してください。

03_週次会議資料_YYYY-MM-DD.pptx

スライド構成:

1. 表紙
2. 今週の重要KPI
3. 商品別売上
4. 得意先・担当者別売上
5. 課題・リスク
6. 来週の行動計画

1スライドへ情報を詰め込みすぎないでください。

グラフと数字を大きく表示し、
会議室の画面で見やすいデザインにしてください。

文章を長くせず、
一項目を短い箇条書きにしてください。

【処理結果】

最後に次のMarkdownを作成してください。

04_処理結果_YYYY-MM-DD.md

次を記録してください。

・使用した入力ファイル
・対象期間
・作成したファイル
・元CSVの売上合計
・Excelの売上合計
・合計一致の確認結果
・未確認事項
・エラーや警告
・処理完了日時

【絶対条件】

・元CSVを変更しない
・入力フォルダのファイルを削除しない
・既存ファイルを無断で上書きしない
・数字を推測で補完しない
・集計結果の検算を行う
・処理途中で省略しない
・作成したファイルを最後に一覧表示する

AionUiが実行する作業

内蔵エージェントは、指示を複数の工程へ分解します。

CSVを確認
  ↓
データ型を確認
  ↓
集計内容を計画
  ↓
OfficeCLIでExcel作成
  ↓
Excelを確認・修正
  ↓
Word週報を作成
  ↓
PowerPointを作成
  ↓
検算
  ↓
処理結果を記録

AionUiにはExcel、Word、PowerPoint用のアシスタントとスキルが標準搭載されています。

OfficeCLIは、OfficeファイルをHTMLやPNGへレンダリングできるため、AIは作成した資料を見て修正する流れを作れます。

ただし、一回で完璧になるとは限りません。

初回は、権限要求、ファイル名、グラフ位置、フォント、表の幅などを確認します。


作成されたExcelを確認する

最低限、次を人間が確認します。

  • 元CSVと売上合計が一致する
  • 数量と売上の列を取り違えていない
  • 同じ伝票を二重集計していない
  • 商品名の表記揺れが別商品になっていない
  • グラフの範囲が正しい
  • 金額に3桁区切りがある
  • 文字がセルからはみ出していない
  • シート名が分かりやすい

今回のサンプルの正解

売上合計は次のとおりです。

213,100円

商品別売上:

商品 売上
商品A 51,600円
商品B 50,000円
商品C 72,000円
商品D 40,500円

AIの結果と一致しなければ、定期実行へ進んではいけません。


Word週報を確認する

Word文書では、数字だけでなく文章の表現を確認します。

良い表現

商品Cの売上は72,000円で、全商品の中で最も高い結果でした。

危険な表現

商品Cの人気が急上昇したことが、売上増加の原因です。

今回のCSVだけでは、人気上昇や売上増加の原因を断定できません。

AIが原因を作り上げていないかを確認します。


PowerPointを確認する

PowerPointでは、次を確認します。

  • スライドが6枚前後に収まっている
  • 文字が小さすぎない
  • Excelと数字が一致する
  • グラフの凡例が読める
  • 長文が貼り付けられていない
  • 課題と事実が区別されている
  • 会議で説明する順序になっている

Step 7:専用のAI社員を作る

毎回長い指示を入力しなくてもよいように、専用Assistantを作ります。

AionUiの設定から、AssistantsまたはAssistant Managementを開きます。

新しいAssistantを作成し、次のように設定します。

項目 設定例
名前 週次報告AI社員
説明 売上CSVからExcel・Word・PowerPointを作成
Backend Built-in Aion CLI
作業フォルダ C:\AionEmployee
Skills xlsx、docx、pptx

Assistant Rules

Rules欄へ次を設定します。

# 役割

あなたは週次売上報告を作る社内アシスタントです。

# 作業範囲

C:\AionEmployeeだけを利用してください。

フォルダ外のファイルを読み書きしてはいけません。

# 重要ルール

- 元データを変更しない
- 既存ファイルを無断で上書きしない
- 数字を推測しない
- 合計値を検算する
- 不明な項目は不明と記載する
- 原因を証拠なしに断定しない
- Excel、Word、PowerPointの数字を一致させる
- 処理内容とエラーをMarkdownへ残す

# Excel品質

- 元データ、KPI、商品別、得意先別、担当者別、日別のシートを作る
- 金額は3桁区切り
- 見出し、列幅、罫線を整える
- グラフを作る
- 元データと合計を照合する

# Word品質

- 管理職が5分以内で読める
- 事実と推測を分ける
- 見出しと表を使う
- 提出可能な体裁にする

# PowerPoint品質

- 6枚前後
- 大きな数字とグラフを中心にする
- 長文を避ける
- 会議で説明しやすい順序にする

Skillsで、Excel、Word、PowerPointを有効にします。

バージョンによっては、名称が次のように表示されます。

  • xlsx
  • docx
  • pptx
  • Excel Creator
  • Word Creator
  • PPT Creator

Step 8:定期タスクを設定する

手動実行で正しい資料が作れることを確認したら、毎週の自動実行を設定します。

AionUiでは、次の三種類のスケジュールを利用できます。

  • Cron式
  • 一定間隔
  • 一回だけ

現在のAionUiでは、Cron式を知らなくても、画面上のスケジュールビルダーから、毎日、毎週、毎月などを設定できます。

推奨設定

項目 設定
頻度 毎週
曜日 月曜日
時刻 午前8時
タイムゾーン Asia/Tokyo
実行方法 毎回新しい会話
キュー保護 有効
作業フォルダ C:\AionEmployee
Assistant 週次報告AI社員

Cron式

0 8 * * 1

意味は次のとおりです。

分:0
時:8
日:毎日
月:毎月
曜日:月曜日

設定方法

バージョンによって、次のいずれかから設定できます。

  • 会話履歴の時計アイコン
  • Scheduled Tasks画面
  • 会話内の/cronコマンド

画面のスケジュールビルダーで「毎週・月曜日・8:00」を選択し、タイムゾーンをAsia/Tokyoへ設定します。


スケジュールへ登録する実行指示

定期タスクでは、会話に書いた長い説明を毎回参照させるより、必要事項を簡潔にまとめます。

C:\AionEmployee\inputにある最新のsales_*.csvを使用し、
週次売上報告を作成してください。

週次報告AI社員のRulesを厳守してください。

作成物:

1. Excel週次売上集計
2. Word週次報告書
3. PowerPoint週次会議資料
4. Markdown処理結果

出力先は、
C:\AionEmployee\output\今日の日付
としてください。

元CSVを変更せず、
売上合計を必ず検算してください。

処理が失敗した場合は、
不完全な資料を完成扱いにせず、
エラー内容を処理結果Markdownへ記録してください。

「毎回新しい会話」を推奨する理由

AionUiの定期タスクには、主に次の実行方法があります。

  • 既存会話を継続する
  • 実行ごとに新しい会話を作る

週次報告では、毎回新しい会話を推奨します。

既存会話を継続すると、過去の週のファイル名、数字、指示がコンテキストへ残り、今週の処理へ混ざる可能性があるためです。

一方、継続会話は、長期プロジェクトの進捗確認や、前回結果を必ず参照したい処理に向いています。


キュー保護を有効にする

前回の処理が終わっていない状態で次の定期処理が始まると、同じCSVを二重処理する可能性があります。

現在のAionUiには、前回実行中の場合に次の処理を待たせるキュー保護機能があります。

週次業務でも有効にしておきます。


PCの電源が切れている場合

AionUiは、PCの電源が切れている間は処理できません。

毎週月曜日の午前8時に実行する場合、次が必要です。

  • PCの電源が入っている
  • Windowsへログインできる状態
  • AionUiが起動している
  • インターネットまたはローカルAIが利用可能
  • 入力CSVが保存されている

AionUiには、実行中のスリープを防止する機能と、スリープ復帰後に未実行タスクを検出する機能があります。

ただし、PCの完全な電源オフを代替するものではありません。


AionUiをWindows起動時に立ち上げる

Windowsの設定を開きます。

  1. 設定
  2. アプリ
  3. スタートアップ
  4. AionUiを有効化

AionUiが一覧に出ない場合は、Windowsのスタートアップフォルダへショートカットを置きます。

Windowsキー+Rを押し、次を入力します。

shell:startup

AionUiのショートカットを、このフォルダへ配置します。


入力CSVがない場合の処理

月曜日の朝にCSVがまだ保存されていない場合、AIが古いCSVを再利用する危険があります。

Rulesへ、次を追加します。

入力CSVの更新日時が7日以上前の場合は、
資料を作成しないでください。

「最新データが見つかりません」と
処理結果Markdownへ記録してください。

さらに、ファイル名に対象期間を含める運用が有効です。

sales_20260720_20260724.csv

二重処理を防ぐ

処理済みCSVのハッシュ値またはファイル名を記録します。

簡易的には、処理後にarchiveへコピーします。

C:\AionEmployee\archive\2026-07-27\
└── sales_20260724.csv

AIへのRulesへ追加します。

処理完了後、使用したCSVのコピーを
archive\処理日フォルダへ保存してください。

元のinputファイルは削除・移動しないでください。

同じファイル名がarchive内に存在する場合は、
二重処理の可能性を警告してください。

Ollamaで完全ローカル化する

請求、売上、原価、人事などの情報を外部AIへ送信できない場合は、Ollamaを利用します。

Ollamaをインストールする

Windows PowerShellで、公式インストールコマンドを実行します。

irm https://ollama.com/install.ps1 | iex

または、Ollama公式サイトからWindows版をダウンロードします。

Ollama Windows版

モデルを取得する

8Bモデルの例:

ollama pull qwen3:8b

確認します。

ollama list

動作確認:

ollama run qwen3:8b

AionUiへ接続する

AionUiのモデル設定で、OllamaまたはCustom Providerを選択します。

接続先:

http://127.0.0.1:11434

モデル名:

qwen3:8b

接続確認後、週次報告AI社員のモデルをOllamaへ変更します。


ローカルAIで失敗しやすい部分

小型モデルでは、次の問題が起きる可能性があります。

  • 3ファイルのうち一つしか作らない
  • グラフを省略する
  • WordとExcelの数字が一致しない
  • PowerPointへ長文を貼り付ける
  • 途中で完了したと誤認する
  • OfficeCLIの使い方を間違える

対策として、処理を三つへ分けます。

  1. Excel作成
  2. Excelを基にWord作成
  3. ExcelとWordを基にPowerPoint作成

一つの巨大な指示より、段階的な処理の方が安定する場合があります。


Excel専用タスク

最新CSVからExcel週次売上集計だけを作成してください。

Excel完成後、
元CSVとの売上合計一致を検証してください。

WordとPowerPointはまだ作成しないでください。

Word専用タスク

完成したExcel週次売上集計を読み、
Word週次報告書を作成してください。

Excelに存在しない数字や原因を追加しないでください。

PowerPoint専用タスク

完成したExcelとWordを読み、
6枚のPowerPoint会議資料を作成してください。

Excelと異なる数字を書かないでください。

「AI社員」へ許可する権限を最小限にする

AionUiのAIエージェントは、ファイルの読み書きやツール実行ができます。

便利である一方、設定を誤ると、不要なファイルへアクセスする可能性があります。

専用Windowsユーザーを作る

可能であれば、AI作業専用のWindowsユーザーを作ります。

  • 管理者権限を与えない
  • 顧客フォルダへアクセスさせない
  • メールへログインさせない
  • 本番SSH鍵を置かない
  • ブラウザへ業務アカウントを保存しない

作業フォルダを限定する

C:\AionEmployee

デスクトップ全体、ドキュメント全体、ネットワークドライブ全体を作業対象にしないでください。

永続的な権限許可を安易に選ばない

初回は、ファイル操作やコマンド実行ごとに内容を確認します。

動作を理解する前に「今後すべて許可」を選ばないでください。


クラウドAIへ送信される可能性がある情報

クラウドAIを利用する場合、指示や処理対象の一部がAIプロバイダーへ送信されます。

送信される可能性がある情報:

  • CSVの内容
  • 得意先名
  • 担当者名
  • 売上金額
  • 週報本文
  • ファイル名
  • 作業指示

実務利用前に、次を確認します。

  • 会社のAI利用規程
  • AIサービスのデータ保持条件
  • 学習利用の有無
  • 契約上の機密保持
  • 個人情報の扱い
  • 国外移転

スマートフォンから確認する

AionUiにはWebUIがあります。

同じPC上では、ローカルWebUIからアクセスできます。

別の端末から利用する場合は、WebUIのリモート接続設定が必要です。

インターネットへポートを直接公開するより、TailscaleなどのVPNを使う方法が安全です。

AionUiのWebUIは、現時点では管理者一人を想定した構成です。

複数社員へ同じ管理者アカウントを共有する運用は避けてください。


週報完成時に通知したい場合

AionUiは、MCPや外部エージェントを利用して通知機能を追加できます。

例えば次の処理です。

  • Slackへ完了通知
  • Teamsへ完了通知
  • メールの下書きを作成
  • 社内チャットへファイルの保存先を投稿

初期段階では、自動送信より、通知文の下書き作成までにします。

AIへ次を追加します。

処理完了後、社内チャットへ投稿するための
完了報告文をMarkdownで作成してください。

外部サービスへ自動送信は行わないでください。

実務へ横展開できる業務

営業

  • 担当者別売上集計
  • 失注案件一覧
  • 見積進捗週報
  • 顧客別訪問実績
  • 営業会議資料

経理

  • 入金予定表
  • 未入金一覧
  • 経費週報
  • 予算実績比較
  • 月次会議資料

総務・人事

  • 勤怠集計
  • 有給取得状況
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製造業向けPrompt例

最新の生産実績CSVを読み、
製造部門の週次報告を作成してください。

Excelには次を集計してください。

・品番別生産数
・設備別生産数
・担当者別生産数
・不良数
・不良率
・停止時間
・計画差異
・納期遅延

Word週報には、
確認できた事実、課題、要確認事項を記載してください。

PowerPointは、
工場会議向けに6枚で作成してください。

不良原因は、データに根拠がない場合は断定しないでください。

AionUiを本当に24時間動かす方法

個人PCは、再起動、スリープ、Windows Update、ユーザーの操作によって停止します。

安定して24時間動かすには、専用PCまたはサーバーを用意します。

候補

  • 使っていないWindows PC
  • 小型ミニPC
  • Ubuntuサーバー
  • 社内の専用VM

OfficeCLIはMicrosoft Officeを必要としないため、LinuxサーバーでもWord、Excel、PowerPointファイルを生成できます。

ただし、成果物をMicrosoft Officeで開いた際の見え方は、必ず確認してください。


失敗時に不完全な資料を使わせない

AIがExcelだけ作成し、WordとPowerPointの作成に失敗する場合があります。

完了条件を明確にします。

次の4ファイルがすべて存在し、
検算が成功した場合だけ、
処理を完了としてください。

・Excel
・Word
・PowerPoint
・処理結果Markdown

一つでも欠けている場合は、
完了と報告せず、
処理失敗または一部失敗と記録してください。

処理結果Markdownの重要性

AIが作った資料だけでなく、処理記録を残します。

例:

# 週次報告処理結果

処理日時:2026-07-27 08:12
入力:sales_20260724.csv
対象期間:2026-07-20~2026-07-24

元CSV売上合計:213,100円
Excel売上合計:213,100円
一致確認:成功

作成ファイル:
- 01_週次売上集計_2026-07-27.xlsx
- 02_週次報告書_2026-07-27.docx
- 03_週次会議資料_2026-07-27.pptx

警告:
- 前週データがないため、前週比較は未実施

未確認:
- 売上変動の原因
- 得意先別の利益率

この記録があれば、AIが何を根拠に資料を作ったかを追跡できます。


よくある失敗

Excelしか作られない

処理が長すぎる可能性があります。

Excel、Word、PowerPointを別タスクへ分割します。

数字が一致しない

  • 金額列が文字列になっている
  • カンマや円記号が含まれている
  • 空白行を含む
  • 同じ伝票を二重集計している
  • フィルター後の範囲が間違っている

元CSV合計を別の方法で計算させ、Excel結果と比較します。

PowerPointの文字が多すぎる

一スライドの制限を明記します。

1スライドの本文は最大5項目、
1項目は40文字以内としてください。

毎週同じファイルを上書きする

出力フォルダとファイル名へ日付を入れます。

古いCSVを利用する

更新日時とファイル名の対象期間を確認させます。

定期タスクが動かない

  • AionUiが終了している
  • PCの電源が切れている
  • タイムゾーンが違う
  • APIキーが無効
  • モデルの利用上限に到達
  • 入力ファイルがない
  • 権限要求で停止している

AI社員を完全無人にしない

毎週自動で資料を作れるようになっても、最終確認は人間が行います。

AIへ任せる作業

  • ファイル探索
  • 集計
  • グラフ作成
  • 文章の下書き
  • 資料の初稿
  • ファイル整理

人間が行う作業

  • 数字の最終確認
  • 経営判断
  • 原因の判断
  • 取引先への説明
  • 資料の正式提出
  • 外部への送信

AI社員は、人間の責任を引き受ける社員ではありません。

人間が確認すべき資料を、毎週同じ形式で準備するアシスタントです。


導入効果を測る

自動化前後で、次を記録します。

項目 自動化前 自動化後
Excel集計 40分 確認10分
Word週報 30分 確認10分
PowerPoint 40分 確認15分
合計 110分 35分

この例では、一週間あたり75分の削減です。

年間50週なら、62.5時間を削減できます。

一方で、初期設定、Prompt改善、確認時間も記録し、実際の効果を判断します。


まとめ

AionUiを利用すると、AIを単なる質問相手ではなく、PC上で定型業務を繰り返す「AI社員」として利用できます。

今回の構成では、次を実現しました。

  • 売上CSVの自動取得
  • Excel集計表の作成
  • Excelグラフの作成
  • Word週報の作成
  • PowerPoint会議資料の作成
  • 日付別フォルダへの保存
  • 処理結果と検算記録
  • 毎週月曜日の定期実行
  • OllamaによるローカルAI化

AionUiとOfficeCLIは無料のオープンソースです。

クラウドAIを使う場合はAPI料金がかかりますが、Ollamaを接続すれば、一回ごとのAPI料金なしで運用できます。

ただし、最も重要なのは完全無人化ではありません。

AIが毎週の初稿を作り、人間は数字、原因、意思決定だけを確認する。

この役割分担によって、事務職、営業、経理、製造業の担当者は、集計や資料作成から解放され、本来の判断業務へ時間を使えるようになります。

AIへ仕事を質問するのではなく、AIへ毎週の仕事を担当させる。

AionUiは、その第一歩を無料で試せる非常に興味深いオープンソースです。


参考資料

本記事は2026年7月27日時点のAionUi、OfficeCLI、Ollamaの公式情報を基に作成しています。画面名称、対応モデル、スケジュール設定、インストーラー名は今後変更される可能性があります。導入時は必ず公式ReleasesとWikiの最新版を確認してください。

ABOUT ME
Yuusuke
業務システムの要件定義・設計・実装を担当。Python、PHP、JavaScript、VBA、Oracle、MySQLなど、実務と個人開発で検証した内容を発信しています。