2025-2026 技術動向 設計→実装へ 性能×生産性 供給網セキュリティ Edge標準化

2025-2026年 Webアプリケーション技術動向とサービス展望
──「流行」ではなく、勝ち筋へ変換する

このページは「トレンドを眺めて終わり」にしません。
①アーキ判断 ②開発体験(DevEx)③運用/性能 ④セキュリティ ⑤提供価値(サービス化)に分解し、そのまま意思決定と実装に落とせる粒度まで落とし込みます。

結論(最重要):2025-2026の主戦場は「SSR/Streaming + Edge の設計」と「ビルド/依存/署名/Secrets =供給網の統制」です。
ここを外すと、表示速度も開発速度も、そして事故耐性も取り戻せません。

2025-2026の「地殻変動」:勝ち負けが決まる3つのレイヤ

Layer 1:レンダリングの再設計
・SSR/Streamingが“オプションではなく標準”へ
・Edge実行でTTFB(最初の応答)を削る
・RSC/Islandsで「JSを送らない」方向へ
Layer 2:開発速度の再設計(DevEx)
・ビルド/テスト/型チェックの待ち時間が生産性を食う
・高速ビルド(Turbopack/Vite/Bun等)+CI Gateが本命
・“速いが危ない”を排除する仕組み化
Layer 3:供給網(Supply Chain)と3rd-partyの統制
・依存パッケージ、CDN、外部タグ、解析ツール…「外部コード」が増えすぎた
・2025-2026は“Webでもソフトウェア供給網セキュリティ”が標準装備になる

Webアプリの競争力はUIの派手さではなく「待たせない」「壊れにくい」「直しやすい」です。
そして2025-2026は、これを実現するスタックが一気に揃った年です。

よくある失敗(本質)
“新技術を入れたのに遅い/不安定”は、ほぼ例外なく「設計不足」です。
SSR/Edge/RSCは万能ではなく、データ一貫性・キャッシュ・観測性(ログ/トレース/アラート)までセットで設計しないと破綻します。

判断フレーム:採用可否ではなく「適用領域」を決める

A:体験が売上に直結(外向け導線)

  • LP/記事/事例/採用/検索導線 → SSR/Streaming + Edgeキャッシュ
  • EC/予約/申込 → 初期表示 + SEO + CVR(離脱率)
  • モバイル比率が高い → “JS削減”が最優先(RSC/Islandsの価値が大きい)

B:運用と監査が重要(業務アプリ)

  • 権限制御/監査ログ/証跡 → 先に基盤(認証/認可/ログ)を固める
  • 複雑フォーム/状態管理 → “過度なRSC”は逆効果になることがある
  • 運用者が少ない → デバッグ容易性と障害切り分けを最優先
Streaming SSR Edge Rendering RSC / Islands Observability Supply Chain

2025-2026 “3大投資ポイント”(順番が命)

  1. Rendering設計:Streaming SSR + 選択的ハイドレーション + RSC/Islandsで「JSを送らない」。
  2. Build/DevEx:高速ビルド/高速テストに投資(Turbopack/Vite/Bun等)。“待ち時間”を潰す。
  3. 供給網セキュリティ:依存・署名・Secrets・3rd-party JS統制(CSP/SRI/隔離)をCIに埋め込む。
要点: “最新の採用”ではなく、高速化と事故耐性を同時に上げることが、2026の勝ち筋です。

設計の最重要:キャッシュは「速さ」ではなく「整合性設計」

2025-2026のSSR/Edgeは、キャッシュが前提になります。ここで事故が起きるのは主に次の3つです。

事故パターン1:ユーザー混線
認証済みレスポンスを共有キャッシュして、別ユーザーに漏れる。
Cache-ControlVary、ユーザー識別子の取り扱いを厳密化。
事故パターン2:古いデータの残留
ISR/Edgeキャッシュが更新されず、在庫・価格・権限がズレる。
→ “どこで無効化するか”をAPI/DB/イベントで設計する。
事故パターン3:観測できない
Edge/Serverlessで障害が起きても、ログとトレースが繋がらず原因が追えない。
→ 分散トレーシング(traceId)を最初に通す(後付けは地獄)。
// 典型:キャッシュ方針の“型”をコード化(Next/Fetch例)
const res = await fetch(url, {
  // (A) 認証/個人情報 → no-store(共有キャッシュ禁止)
  cache: "no-store",

  // (B) 公開情報 → revalidate(ISR/時間キャッシュ)
  // next: { revalidate: 60 },

  // (C) API側で制御する場合 → headersで明示
  headers: { "x-trace-id": traceId }
});

// API側:Cache-Controlの基本
// 公開: Cache-Control: public, max-age=0, s-maxage=300, stale-while-revalidate=60
// 個人: Cache-Control: private, no-store

フロントエンド:SSRは「復権」ではなく「標準化」へ

主要フレームワークは軒並みSSRを標準化し、Edge実行と組み合わせることでTTFBを削り、体感速度を改善する流れが強いです。
また、ReactではストリーミングSSRと選択的ハイドレーションが普及し「準備できた部分から返す」「重要UIからhydrateする」が実務の標準になります。

Next.js(React)
・App Routerが成熟し、SSR/Streamingがデフォルトへ
・Server Componentsで「データ取得をサーバへ寄せる」
・Edge Functionsとの統合で、導線を最短化
SvelteKit / Qwik
・SvelteKitは軽量で開発体験も良い(学習コスト低め)
・Qwikは“遅延読み込み(Resumability)”思想で、初期JSを極小化
・ただし国内の事例/採用はNextより薄い
導入ハードル(本質)
Edge/Streaming/RSCはデバッグが複雑化します。
失敗するチームは、キャッシュ整合性観測性を後回しにします(=障害時に詰む)。

SSR/Edge/RSCの“適用パターン”を固定する(勝ち筋だけ残す)

パターン1:コンテンツ主導(SEO勝ち)

  • 記事/事例/採用/ナレッジ → SSR + Edgeキャッシュ(公開情報)
  • 検索導線のTTFBを削る → Edgeでルーティング/ABテスト/言語分岐
  • 動的UIは “Islands” 化:必要部分だけClientで動かす

パターン2:取引主導(CV勝ち)

  • 入力フォーム → 初期SSR + 重要UIからhydrate(離脱を減らす)
  • 決済/申込 → セキュリティヘッダと監査ログを最優先
  • 外部タグは統制(CSP/SRI/隔離)※後述
“適用しない”のも設計
業務アプリで状態が複雑・画面が多い場合、RSCを無理に広げるとデバッグコストが爆増します。
「外向け導線はSSR/Edgeで勝つ」「内向けは安定運用と可観測性で勝つ」—この分離が効きます。

Next.js(App Router)で「JSを送らない」設計の型(実務版)

目的:データ取得をサーバ側に寄せ、クライアントJSを最小化。必要な部分だけClient Componentに閉じ込めます。

// app/products/page.tsx (Server Component)
import { Suspense } from "react";
import ProductClientFilters from "./ProductClientFilters";

type Product = { id: string; name: string; price: number; updatedAt: string };

async function getProducts(): Promise<Product[]> {
  // 公開情報なら revalidate を設計(例:60秒)
  const res = await fetch("https://example.internal/api/products", {
    // cache: "no-store", // 個人情報や在庫/価格などズレが致命なら no-store
    next: { revalidate: 60 },
  });
  if (!res.ok) throw new Error("fetch failed");
  return res.json();
}

function Skeleton() {
  return <div style={{opacity:.75}}>Loading...</div>;
}

export default async function Page() {
  const products = await getProducts();

  return (
    <div>
      <h2>Products</h2>

      {/* UIの一部だけClientにして、初期JSを抑える */}
      <ProductClientFilters />

      {/* 重要でない部分はストリーミングで後から返す */}
      <Suspense fallback={<Skeleton />}>
        <ul>
          {products.map((p) => (
            <li key={p.id}>{p.name} - {p.price}</li>
          ))}
        </ul>
      </Suspense>
    </div>
  );
}
落とし穴(実務)
Server側でfetchが増えるほど、レート制限キャッシュ無効化トレースが重要になります。
“どこが遅いのか”が見えない状態でSSRを増やすと、障害時に復旧できません。

Edgeレンダリング:速いが、制約が強い(だから設計が必要)

Cloudflare Workers / Vercel Edge / Lambda@Edgeなどにより「ユーザー近傍で動的生成」が現実解になりました。
ただし、Edgeは “速い代わりに制約が強い” ので、適用領域の固定が必須です。

Edgeに向く処理
・言語/地域分岐、AB振り分け、認証トークンの軽量検証
・キャッシュキー生成、ルーティング、Bot/攻撃の早期遮断
・公開ページのSSR(重いDB処理は避ける)
Edgeに向かない処理
・長時間処理/重い計算、巨大依存、DB直結で整合性が厳しい処理
・観測できない/再現できない障害が許されない領域(運用設計が先)
実装のコツ:Edgeは「入口(ゲート)」にする。
入口で“さばく”→ 中央(リージョン)で“確定する”の2段にすると、速さと整合性を両立できます。

ビルドツールチェーン:待ち時間を潰す=チームの速度が上がる

巨大フロントの開発では「人の思考」がビルド待ちに切断されるのが最大損失です。
2025-2026は、Rust/高速コンパイラ(SWC等)を前提にしたツールが現実解になり、DevExが大きく上がります。

Turbopack(Next)
・HMRの高速化で、開発者の“待ち”を削る
・SWC周辺と統合し、最適化が進む
・Next基盤なら最優先の候補
Vite / Rspack / Bun
・Viteは標準的な高速Dev Serverとして定着
・Rspackはwebpack互換を狙い移行コストを下げる
・Bunはランタイム/パッケージ/テスト統合で速度を狙う
重要:ビルドだけ速くしても、テスト/型チェック/リンターが遅ければ意味がありません。
だから2026は「CI Gate設計」が勝ち筋になります。

CIのGate設計:2026の事故を減らす“強制装置”

目標は「人が気をつける」から「仕組みが止める」へ。供給網セキュリティ(SBOM/署名/Secrets/依存)をデフォルト化します。

Gate 1:Secrets混入を止める
・コミット時(pre-commit)+CIの二段
・検知したらPRを落とす(例外運用は最小)
Gate 2:依存の健全性を担保
・脆弱性スキャン(OSV等)
・不要依存の削減(依存地獄=攻撃面の拡大)
Gate 3:SBOMと署名(Supply Chainの本丸)
・SBOMを成果物に紐づけ、問い合わせに即答できる状態へ
・署名(例:OIDC + cosign)で“誰が作ったか”を証明
name: ci-gate
on:
  pull_request:
  push:
    branches: [ "main" ]

jobs:
  gate:
    runs-on: ubuntu-latest
    permissions:
      contents: read
      security-events: write
      id-token: write
    steps:
      - uses: actions/checkout@v4

      # 1) Secrets検出(例: gitleaks)
      - name: gitleaks
        uses: gitleaks/gitleaks-action@v2

      # 2) 依存の脆弱性(例: osv-scanner)
      - name: install
        run: npm ci
      - name: osv-scan
        uses: google/osv-scanner-action@v1
        with:
          scan-args: "-r ."

      # 3) SBOM生成(例: syft/anchore)
      - name: sbom
        uses: anchore/sbom-action@v0
        with:
          format: "spdx-json"
          output-file: "sbom.spdx.json"

      # 4) build(成果物生成)
      - name: build
        run: npm run build

      # 5) 署名(例: cosign / OIDC)
      - name: cosign (example)
        run: |
          echo "Sign artifacts here"
          # cosign sign --yes <artifact>
運用のコツ:Gateは「いきなり全部」ではなく、検知→警告→強制の段階移行にすると定着します。

BFF/API:マイクロサービス疲れの後に来る「適正な統合」

Webは“画面都合”でデータが必要になります。複数サービスをそのままフロントから叩くと、速度・権限・監査・リトライで破綻します。
そのため2025-2026は、BFF(Backend For Frontend)で適正に統合する流れが強いです。

tRPC(型安全×速度)
・TypeScriptでフロント/バックを一体で進めたい
・速度優先で、スキーマ運用を軽くしたい
・中規模で最大効果(境界が曖昧だと肥大化)
GraphQL(統合×柔軟)
・複数サービス/複数クライアント(Web/モバイル)
・欲しいデータを柔軟に取得(過取得/不足取得を減らす)
・スキーマ運用と権限/監査は設計が重い
設計の要:権限と監査はAPIで“確定”させる
BFFは“便利な集約”ではなく、認可・監査ログ・キャッシュ無効化の中枢です。ここを曖昧にすると2026に事故ります。

APIの使い分け基準(迷わないための固定ルール)

RESTが向く

  • 外部公開API(互換性・キャッシュ・可観測性が明快)
  • 単純CRUD・リソース指向が強い領域
  • CDNキャッシュを効かせたい公開データ

tRPC/GraphQLが向く

  • UIの都合で取得形が変わる(ダッシュボード等)
  • 複数サービスをまたぐ集約が必要(BFF向き)
  • 型安全で開発速度を上げたい(内製向き)
“境界(ドメイン)”の守り方:
・tRPCは速いが、境界を守らないと巨大モノリス化しやすい
・GraphQLは柔軟だが、権限/監査/コスト(クエリ複雑度)を設計しないと詰む

コード:tRPC(最小構成)+境界の作り方

// server/trpc.ts
import { initTRPC } from "@trpc/server";
import { z } from "zod";

const t = initTRPC.context<{ userId?: string; roles: string[] }>().create();

// “境界”をrouterで切る(例:users / orders / admin)
const usersRouter = t.router({
  getUser: t.procedure
    .input(z.object({ id: z.string().uuid() }))
    .query(async ({ input, ctx }) => {
      // 監査ログ(誰が誰を参照したか)をここで確定
      // audit.log({ actor: ctx.userId, action: "users.getUser", target: input.id });
      return { id: input.id, name: "Alice" };
    }),
});

const adminRouter = t.router({
  // 例:adminのみ
  stats: t.procedure.query(async ({ ctx }) => {
    if (!ctx.roles.includes("admin")) throw new Error("forbidden");
    return { ok: true };
  }),
});

export const appRouter = t.router({
  users: usersRouter,
  admin: adminRouter,
});

export type AppRouter = typeof appRouter;
ポイント:“機能”ではなく“境界”で分ける。境界が守れれば、tRPCは最速ルートになります。

データ基盤:分散SQL/サーバレスDBが“実装の選択肢”になった

サーバレス/マネージドDBは「運用負荷を下げる」だけでなく、開発速度(スキーマ変更の止めづらさ)にも効きます。
ただし、Edgeと組むと整合性・レイテンシ・規制対応(データ所在)が課題になります。

判断基準(ここが武器)
・「今」スケールが必要か?それとも“未来の不安”か?
・チームに運用SREがいるか?(いないなら運用を外部化する価値が高い)
・トランザクション要件 / レイテンシ / リージョン展開を先に言語化したか?

採用の強み

  • 運用の認知負荷が下がる(人が増えなくても回る)
  • スキーマ変更が止まりにくい(開発速度に効く)
  • バックアップ/冗長化が標準化されやすい

採用の弱み

  • ロックイン/料金モデル(読み書き/転送で爆発することがある)
  • 既存手順が通用しない(監査/復旧/権限)
  • Edgeと絡めた整合性設計が難しくなる場合がある
提案:新世代DBは「全面移行」より、新規サービス/新規機能から試すのが勝ち筋です。

Edge×データ:整合性を崩さない“型”

Edgeに寄せたくなるほど「データ一貫性」が難しくなります。2025-2026の現実解は、用途別に分けることです。

公開・読み中心(OK)
・Edgeキャッシュ + ISR + 公開API
・整合性は “遅延許容” で設計(数十秒〜数分)
・無効化はイベント/タグ/パージを運用化
取引・書き込み中心(注意)
・確定処理はリージョン(中心)に寄せる
・Edgeは入口の検証/ルーティングに留める
・二重送信/競合を前提に冪等性を設計
// 冪等性キーの例(決済/申込系は必須)
POST /api/orders
Idempotency-Key: 0c8b... (UUID)

# サーバ側:
# - (userId, Idempotency-Key) で重複検知
# - 同じキーなら同じ結果を返す
# - 競合はトランザクションで吸収
観測性セット:遅延・失敗が起きた時に「どこで詰まったか」を追えるように、API/DB/Queueに traceId を通します。

Webセキュリティ:2025-2026の“盲点”はサードパーティJS

Webサイトは多数の外部(間接含む)サードパーティJSを抱えがちで、改ざんによる情報窃取(Magecartのような手口)が問題になります。
そこで CSP による実行元制限、SRI による改ざん検知が基本になります。

現実:動的に変化する3rd-party scriptはCSP/SRI運用が難しく、実行時監視やサンドボックス化(隔離実行)も選択肢になります。

CSP:最小→段階強化(壊さずに強くする)

# Nginx: まずはReport-Onlyで始める(壊さない)
add_header Content-Security-Policy-Report-Only "
  default-src 'self';
  script-src 'self' https://trusted.cdn.example 'nonce-$request_id';
  object-src 'none';
  base-uri 'self';
  frame-ancestors 'none';
  upgrade-insecure-requests;
  report-uri /csp-report
" always;

# 収集したレポートを元に許可先を調整 → 本番CSPへ
# add_header Content-Security-Policy "...";
<!-- SRI: 変更されない静的スクリプトに有効 -->
<script
  src="https://trusted.cdn.example/widget.min.js"
  integrity="sha384-BASE64_HASH_HERE"
  crossorigin="anonymous"></script>
運用のコツ:Report-Onlyで “何が必要か” をログで把握し、段階的に締める。
いきなり強CSPで本番を壊すのが最悪のパターンです。

セッション固定(Session Fixation):認証後にIDを必ずローテーション

認証成功後にセッションIDを再発行(regenerate/rotate)し、固定化攻撃を成立させないのが基本です。

// Express + express-session の例(認証成功後に regenerate)
app.post("/login", async (req, res) => {
  const ok = await auth(req.body.id, req.body.password);
  if (!ok) return res.status(401).send("ng");

  req.session.regenerate((err) => {
    if (err) return res.status(500).send("session error");
    req.session.userId = req.body.id;
    res.send("ok");
  });
});
併せ技(セットで標準化)
・Cookie: Secure / HttpOnly / SameSite
・CSRF対策(SameSiteだけに依存しない)
・監査ログ(誰が何をしたか)
・SSO/IdP利用時のトークン検証と失効

SSRF:クラウド時代に危険度が増した“設計バグ”

外部URLをサーバ側で取得する機能(OGP取得、画像プロキシ、Webhook検証など)はSSRFの温床です。
2025-2026は「外部リクエストは設計段階で制御」を標準にします。

最小防御(必須)
・URL入力は内向きIP/メタデータ宛を拒否
・アウトバウンド通信は許可リスト制
・DNS Rebind対策(解決結果も検証)
落とし穴
・“文字列フィルタ”だけだと抜ける
・リダイレクト追従で内部へ飛ばされる
・IPv6/表記ゆれ/短縮URLで回避される
// Node例:SSRF対策の“型”(擬似コード)
function assertSafeUrl(u) {
  const url = new URL(u);

  // 1) スキーム制限
  if (!["https:", "http:"].includes(url.protocol)) throw new Error("bad protocol");

  // 2) 解決したIPを検証(DNS Rebind対策)
  const ip = resolveDnsToIp(url.hostname);
  if (isPrivateIp(ip) || isLinkLocal(ip) || isMetadataIp(ip)) throw new Error("blocked");

  // 3) リダイレクトは最大回数 + 毎回検証
  // 4) タイムアウト/サイズ制限(DoS対策)
}
結論:SSRFは“実装の工夫”ではなく、アウトバウンドを設計で縛るのが勝ちです。

認可(Authorization):RBACだけでは足りない

重要操作(機密データ・管理操作)は、RBAC(役割)だけでなく、条件(属性)で縛るABACが有効です。
例:部署、拠点、時間帯、端末信頼度、操作種別などを条件にする。

ABACの例
・「管理者」でも、人事データ人事部 かつ 社内端末 のみ
・「取引先情報」は、担当者/チームに限定し、アクセスを監査ログに必ず残す
// ルールエンジン導入前でも“簡易ABAC”は実装できる(擬似)
function canReadCustomer(user, customer) {
  if (user.role === "admin") return true;
  if (user.dept !== customer.ownerDept) return false;
  if (!user.deviceTrusted) return false;
  return true;
}
注意:新技術(RSC/Edge/Serverless)を入れるほど、境界が増えて“認可漏れ”が起きやすい。
だから、認可と監査はBFF/APIで確定させるのが安全です。

サービス展望:2025-2026に「売れる」提供価値の作り方(実装可能形)

技術の進化は“差別化ポイント”を変えます。
2025-2026は「速い」「壊れない」「監査できる」「供給網を守れる」を、数字で売るサービスが伸びます。

① Performance-as-a-Feature

  • SSR/Edge/画像最適化/JS削減を“商品”にする
  • Core Web Vitals(LCP/INP/CLS)を月次改善
  • CVR改善を数値で提示(経営に刺さる)

② Supply-Chain Guard

  • SBOM/署名/Secrets/依存スキャンを導入支援
  • CI Gateテンプレを企業ごとにカスタム
  • “事故が起きない開発”を売る(B2Bに強い)

③ 3rd-party JS Risk Control

  • CSP/SRI/隔離実行(sandbox)をセットで提供
  • フォーム・決済・会員登録など“守る導線”に集中
  • 監査ログ+改ざん検知+運用手順まで含める

④ Legacy Modernization(小さく勝つ)

  • いきなり刷新でなく、BFFで段階移行(tRPC/GraphQL)
  • 旧基盤を切らずに“新体験”だけを作る
  • ROIが出やすい(稟議が通しやすい)
勝ち筋:「新技術の説明」ではなく、速度/事故率/工数の数字で価値を出すサービスが伸びます。

提案のテンプレ(そのまま営業資料になる)

提案書の骨子
1) 現状計測(RUM/CI/依存/3rd-party)
2) 課題の特定(遅延・事故・属人)
3) 解決策(SSR/Edge/Gate/CSP等)
4) KPI(LCP/INP/CI中央値/Secretsゼロ)
5) 90日計画(小さく勝つ)
価格設計の型
・初期:診断(棚卸し + 設計)
・構築:Gate/CSP/SSR適用
・運用:月次改善(指標で報告)
→ “成果”が継続契約の根拠になる

実装チェックリスト(2025-2026版・増量)

“読むだけ”で終わらせないために、採用時の最低ラインを定義します。

Rendering / 性能

  • SSR/Streamingの適用範囲が決まっている(外向け導線など)
  • Client JS増加を継続計測している(バンドル/実行時間)
  • キャッシュ(ISR/Edge/DB)戦略が文書化されている
  • RUM(実ユーザー計測)を導入し、KPIがある
  • 画像/フォント最適化(LCP要因)に手が入っている

DevEx / 生産性

  • ビルド/テスト/型チェック時間を計測し、目標を持つ
  • 依存更新のルール(Renovate等)と責任者が明確
  • ローカル/CIの差異が小さい(再現性)
  • PRテンプレに「リスク/ロールバック/影響範囲」を入れる
  • CI Gateで“止める”仕組みがある(Secrets/依存/SBOM)

API / 境界 / 監査

  • BFFの責務が明確(肥大化させない境界がある)
  • REST/tRPC/GraphQLの使い分け基準がある
  • 監査ログ(誰が何をした/見た)をAPIで確定している
  • 冪等性(Idempotency)と競合を設計している(取引系)

セキュリティ(Web)

  • CSPはReport-Onlyから運用し、段階強化している
  • SRI適用箇所が明確(静的スクリプト)
  • 認証後のセッションIDローテーションを実装
  • 3rd-party JSの隔離/監視方針がある
  • SSRF対策(アウトバウンド許可リスト等)を設計で実装
  • 認可をRBACだけにせず、重要操作はABACで縛る
このチェックを満たさない導入は、技術負債になります。
逆に満たせば “速くて壊れない” を組織標準にできます。

90日で「武器化」する実行ロードマップ(Webアプリ版)

Phase 1(0-2週):現状把握(数字を出す)

  • Core Web Vitals(可能ならRUM)/ ビルド時間 / CI時間 を計測
  • 3rd-party JS棚卸し(何が/どこで/誰が管理)
  • 依存棚卸し(SBOM試作)
  • セッション/認証/認可/監査の現状確認(穴を特定)
  • 外部URL取得系(SSRFの温床)を洗い出す

Phase 2(3-6週):Gate埋め込み(止める仕組み)

  • Secrets検出をCI必須化(警告→強制)
  • 依存脆弱性スキャンを必須化(OSV等)
  • SBOMを生成し、成果物と紐付ける
  • CSPをReport-Only運用開始(レポート収集)
  • セッションIDローテーション/クッキー属性を標準化

Phase 3(7-12週):SSR/Edgeを最適適用(勝てる導線から)

  • “SEO/導線”からSSR/Streaming適用(効果が見えやすい)
  • キャッシュ戦略を文書化(不整合の扱い/無効化含む)
  • 観測性(ログ/トレース/アラート)をセット導入
  • 必要ならビルド刷新(Turbopack/Vite等)+CI短縮
  • 3rd-party JS統制(CSP本番化 + 重要導線の隔離)

成果指標(KPI例:経営に刺さる)

  • LCP / INP / CLS(できればRUMで)
  • CI時間(PR→mergeまでの中央値)
  • 高危険度依存の件数 / Secrets検出ゼロ継続
  • 3rd-party JS棚卸し完了率 / CSP違反数の収束
  • 監査ログのカバレッジ(重要操作100%など)
最終メッセージ:
2025-2026は「新技術を追う年」ではなく、速く作り、速く直し、事故を防ぐ年です。
そのために、Rendering(体験)とGate(供給網)をセットで武器化します。